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五感のささやき 2014年度

印刷用ページを表示する更新日:2017年10月23日更新

平成27年3月3日 獺祭(だっさい)

 2月も20日頃になると春一番が吹き、馥郁(ふくいく)と梅の花が咲誇り、蕗(ふき)の薹(とう)が春の日差しを受け元気に芽吹き、春の訪れを告げる季節となる。
 中国から伝来した暦である「二十四節気」では、この季節を「雨水(うすい)」と言い、その初侯では「土脈(どみゃく)潤(うるお)い起こる」といい、早春の穏やかな雨が降り注ぎ、大地が潤いめざめる頃を言い、農耕の準備を始める目安としてきた。しかし、古くはこの初候は「獺魚(だっさいうお)を祭る」であったという。春は魚の動きも獺も活発になる季節で、獺(かわうそ)は魚をよく捕えるものの、魚を岸に並べなかなか食べようとせず、それが祭りの供え物のように見えたところからの謂(いわ)れであると訊(き)く。その光景は、詩や文をつくる際、多くの資料などを広げちらす様子と共通することから、「獺祭(だっさい)」とは書物や資料などを散らかしている様子も意味するところであり、正岡子規は自らを獺祭屋主人と号した。
 ここ数年、山口県岩国市周東町の旭酒造が仕込む清酒「獺祭」が、日本酒ファンの間ではかなりの話題と人気を集めている。正岡子規が日本文学に改革をもたらしたように、日本酒造りに変革と革新をもってすぐれた酒を造りだそうという志と、地元の地名「獺越(おそごえ)」と合わせて「獺祭」としたのだそうである。現代は地酒ブームである。わが町には、石井醸造と井上酒造の二蔵あり、神奈川県を代表する銘醸「曽我の誉」と「箱根山」が造られている。この春、花を愛でながら、地元の純米大吟醸をとことん楽しんで欲しいものである。

平成27年2月2日 スキー

 現代社会は、個性化時代であり、スポーツも多様性に富んでいる。この季節は、毎週各地で駅伝やマラソン大会が開催されている。かつては、ウインタースポーツの花形であるスキーの話題が多く訊かれる時期であった・・・
 山は白銀 朝日を浴びて 滑るスキーの風切る速さ
 飛ぶは粉雪か 舞い立つ霧か
 お お お この身もかけるよ かける
 この歌の題名は、「スキー」で作詞は時雨音羽(しぐれおとわ)氏、作曲が平井康三郎(ひらいこうざぶろう)氏であり、昭和17年にできた曲である。軽やかなリズムとスキーを楽しむ、心おどる情景は戦時下の暗い世相のなか、憧れであった。
 その後、戦後復興を経て高度経済成長とともに「アイススケート」と「スキー」は、若者のウインタースポーツの花形として成長した。
 そしてオーストリアのトニー・ザイラー選手は、1956年(昭和31年)のイタリアでの冬季オリンピックにおいて、アルペンスキー回転・大回転・滑降のすべてで金メダルに輝き、三冠王となった。この大会で猪谷千春(いがやちはる)選手も回転で銀メダルを獲得し、日本人初の冬季オリンピックメダリストとなった。
 これを契機にスキーブームの到来となり、週末の上野駅はスキーヤーであふれたりスキー列車が増発されたり、各地から各団体の夜行スキーバスが上信越に繰り出すこととなった。ゲレンデは色とりどりのスキーウェアに身を包むスキーヤーであふれ、リフト乗り場は渋滞を引き起こす程の混雑ぶりであった。
 今では若者はスノーボードに替わり、スキーは年配者に愛好されているようだ。箱根に3カ所ほどあったスケートリンクもなくなって久しいが、近年ではスキーに行くとの話も少なくなった。
 スケートやスキーに憧れを抱いていた我々には、ウインタースポーツの変わりように驚き、寂しさも感ずる。
とはいえこの年では、ウイスキーの方が安全かもしれない。

平成27年1月5日 心機一転

 未寿、新年明けましておめでとうございます。
 今年は、春に草木の新芽が一斉に芽を出しているような若き活力に満ちた年、その若さゆえの感受性の強さを自覚し周囲との協調性に気を配らなければならない年と言われております。
 昨年末の衆議院の解散、総選挙はアベノミクス解散と言われ安倍政権の経済政策を問う選挙となりましたが、結果は与党の圧勝となりました。4月に統一地方選挙を控えその結果もこれからの行政運営に大きな影響を与えると思いますが、「まち・ひと・しごと創生」や「県西地域の活性化」に更なる進展を期待するものであります。
 衆議院総選挙に先立ち私も16年に亘る町政の評価を選挙という形で受けることになり僅差ではありますが信任を受けることができました。この結果を真摯に受け止めながらもこれまで進めてきた大井町成長戦略を引き続き強力に進めてまいります。
 現在平成28年度から32年度までの大井町第5次総合計画「おおいきらめきプラン」後期基本計画を策定中であります。「ひとづくり・まちづくり・未来づくり」の目標のもと、次の事柄の実現を目指してまいります。先ず町民の安全安心のための防災対策、将来を担う子どもたちを育むための子ども子育て対策、健康寿命を延すための運動施設の充実や未病対策、暮らしの質を高めるための道路などの都市基盤整備やJR御殿場線のIC化促進、そして人口減少時代を乗り越えるための効率的な行政運営に向けた広域連携の推進、若者の定住化、空き家対策、相和地域の活性化、土地区画整理事業の推進などであります。
 平成27年度は、湘光中学校の大規模改修事業が第3期目で完成を迎えます。相和幼稚園の延長保育と園区の拡大、他の幼稚園の預かり保育の開始、そして相和小学校の小規模特認校への準備を始めます。また、県と推進する「未病を治す」をキーワードとした県西地域活性化の拠点となる「(仮称)未病いやしの里センター」の誘致に全力を傾けます。
 今年の私の信条は「心機一転」としました。先の町長選挙を戦うなかでやはり16年の間には我知らず驕りや惰性に流されていたと受け取られていたこともあったのではと振り返っております。これを機会に新たなチャレンジャーとして日々町民の皆さんのため邁進したいと決意しました。御理解御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 今年も皆さんにとって良い年になりますよう心からお祈り申し上げます。

平成26年11月4日 寒さに負けず

 晩秋を迎え、朝晩の冷え込みがグッと堪えるようになってきた。落ち鮎釣りが終わると、酒匂川での釣り人の姿がなくなり、川の光景は冬の装いとなり寂しさが漂う。刈り取りの終わった田んぼでは、ところどころで稲わらは立っているが、働く人の姿が見られなくなった。
 山の木々は色づき未だ秋の装いであるが、栗拾いやキノコ採りの姿から自然薯(山芋)堀りにかわる季節となった。
 山芋は、滋養強壮に良いとされているが、自然の中で年日をかけて成長した自然薯は、粘りが強く特に珍重されている。
 黒岩知事は「未病」の話のなかで、「医者から見放された年寄りが、漢方医の奨めで山芋を蒸かして食べたら元気を取り戻した」と話された。山芋の持つ「滋養強壮」の力に改めて驚いたものである。
 近年では、栄養剤やサプリメントなど多くのコマーシャルや通信販売を目にするが、昔から効能あるものが身近に存在するのである。
 寒さによりお魚に油が乗って美味しい、鍋も美味しくなる季節でもある。寒さこらえる季節となったが、風邪などひかず元気に過ごそう。

平成26年10月1日 釣瓶(つるべ)落とし

 朝晩肌寒く、秋の深まりを感ずる季節となった。戸外では、陽が傾いてきたかなと思うと、あっという間に西の空が茜色(あかねいろ)に染まり、陽が沈んでしまう。そんな秋の夕暮れを「釣瓶落とし」と表現する。
 釣瓶とは、井戸から水を汲み上げる滑車を使った桶であるが、陽の沈む速さを、井戸の底へ釣瓶がサーッと落ちていく様子を例えたもので、風情はあるが慌ただしさを感じる。
 西の空を眺めながら田畑で刻一刻(こくいっこく)と時間に追われながら、収穫作業に動きまわる農家の人々、広場や公園で遊んでいた子どもたちが一目散に家路に急ぐ姿、人々の動きが慌ただしい時間帯でもある。
 秋が深まると何か寂しさを感じるのであるが、『秋に心』で憂いや悲しみを意とする『愁』であり、動物は冬支度を始め、植物は葉を落とし冬の眠りにつく準備期間である。そんなところから「愁い」となるであろう。
 賑わいの実りの秋から、冬に近づく「愁いの晩秋」へと暦は進んでいく。

平成26年8月5日 大暑から

梅雨明けから土用にかけて、北関東では大雨に見舞われたが、 足柄平野では雨が降らず、畑が乾燥して農作物にも影響がではじめている。月が替わり8月となり、一度大雨が降ったが二十四節気でいう「大暑」を迎え、ゆでるような暑さに食欲さえ劣る毎日である。
 風に吹かれる風鈴のリンリンと涼しげな音色のもとに打ち水をして、浴衣にげた履き姿で花火や縁台将棋に興じる光景は、今となっては 見られなくなった風物詩である。また生活様式の変化から、たらいでの 行水や寝床に蚊帳(かや)を吊るすことなどは消えてしまった。そんなことで乗り切れる暑さでなくなったのであろう…・
 今日の夏の風物詩は、プール遊びにバーベキュー、クーラーを利かせてゲームする…
そんななか「金魚市」、「朝顔市」や「ほおずき市」は、今でも賑わいがあり、商業ベースにあるものとは大きく異なってしまった。
 クーラーや扇風機で涼をとり、うなぎや肉でスタミナをつけ、熱 中症をはねのけて元気に夏を乗り切ろう。

平成26年7月1日 夏を元気に過ごす

 夏至は過ぎたが、日照時間が短くなってきたとは感じられず、梅雨空の合間から照る日差しの強さから、まだまだ日の長さが伸びているように感じる。
 京都では、夏の風物詩となる八坂神社の祭礼である「祇園祭」が、7月1日から1カ月にわたって行われる。「祇園祭」とは、平安京で病気が流行った際に行われた、無病息災を祈る儀式が起源である。最大の見せ場となる17日の「山鉾巡行」で、そろそろ梅雨明けとなる。
 町内でも7月は、多くの祭りが開催される。新宿の山王社から始まり、金手の三島神社と続き、月末は各地の自治会祭りが7カ所ほどで開催される。
 神社の祭礼は、五穀豊穣、無病息災、家内安泰を祈念し、神事が則り行われる。各自治会の夏祭りは、自治会員の健康と融和を目的に老若男女が集い、役員総出で創意工夫し、各自治会の特色をだして行われている。続いて、8月に入ると第1土曜日の2日は、大井町最大のイベントである「よさこいひょうたん祭り」となり、「老いも若いも皆おどれ・・・」

夏の暑さに負けじと、食べ・飲み、大声で歌い踊り、笑い、元気に過ごしたい。

平成26年6月5日 初夏の運動会

 小中学校で秋に行事が多いことと気象の関係から、運動会が秋から5・6月になって久しい。町内の小学校三校の運動会は、5月31日の土曜日に開催された。盛夏を思わせるように気温は高くなったが、田植えが終わった田んぼから時折すがすがしい風が吹いてくる日であった。
 大規模校の大井小学校は、赤・白・青・黄の四チームに分かれての対抗戦で、競技性を楽しむ運動会であったように感じた。中規模校の上大井小学校は、紅組・白組に分かれての対抗戦ではあるが、和気あいあいと競技している雰囲気であった。相和小学校は小規模校であり、複数学年(一年生と二年生)で合同の競技と工夫されている。また、町の文化財に指定されている郷土芸能「麦打唄」の踊りが披露されるなど地域が一つになっての行事である。保護者以外にも、多くの相和地域の方々の協力と応援によって運営されている。三校が特色のある運動会でそれぞれを楽しむことができた。
 当日は30℃を超えるような気温であったが、心配した熱中症にかかる児童もなく、無事に三校の運動会を終えることができた。
 月が替わり6月になると、2日には気温が高いところに湿度が上がり、光化学スモッグ注意報が発令された。次の湘光中学校の運動会も、穏やかな天気であって欲しいと願う。

平成26年5月2日 夏近し

 4月20日から5月4日ごろの季節を、二十四節気では「穀雨(こくう)」という。穀雨とは、春の雨でたくさんの穀物をうるおす、作物にとって恵みの雨である。
 先日4月28日に酒匂川左岸土地改良区の通水式が、開成町の武永田(ぶえだ)取水門で神事(しんじ)をもって執り行われた。開け放たれた水門からは、濁流が一気に水路に流れ込み、数分すると水は澄み、淡々と下流に流れ進む。春の風物詩の一つでもある。
 この水門から毎秒6tの農業用水を取り入れ、松田町、大井町、小田原市の水田300ha、畑100haの農地を灌漑(かんがい)するのである。この6tの水量は、昭和27年から変わることがないが、受益耕地の面積は当時の990haからすると半分以下となっている。
 この通水を待ち耕耘(こううん)されていた田んぼに、五月になると水が引かれ、苗代作業から田植作業へ進むと、足柄平野が緑一面となり、本格的な夏のおとずれとなる。

 多くの水門管理者のご苦労のもとで、台風や集中豪雨を乗り越えて、今年の豊作を念ずるものである。

平成26年4月2日 眠る

 春眠暁(しゅんみんあかつき)を覚えず、処々(しょしょ)に蹄鳥(ていちょう)を聞く。夜来風雨の声・・・・・は、
五言絶句「春暁」の一説であるが、「春の明け方、戸外の小鳥の鳴き声を聞きながら、寝床でうつらうつらしている。」様子を詠ったのどかな詩である。
暑くもなく寒くもなく、ぐっすり眠れる季節である。目が覚めても寝床の中で5分10分と過ごすのも至福のひと時である。馬齢を重ねると、寝つきが悪くなったり、夜中にトイレに行ったり、安眠を妨げるものが多くなった。
最近厚生労働省が示した指針によると、必要な睡眠時間は10代前半が8時間以上、25歳が7時間、45歳が6時間半、65歳が6時間と加齢とともに減るそうである。
それは、メラトニンというホルモンが、40歳以上になると微量しか分泌されず、睡眠が浅くなるのだそうだ。また、歳をとると体力が落ち子どもの様に寝返りをうてず、身体の痛みで目が覚めることがある。若き日のように、吸い込まれるような眠気と、10時間でも平気で眠れる感覚が、今となっては懐かしい。
睡眠は健康の源であるが、何歳だから睡眠時間を何時間必要といわれると、それを考えて眠れなくなる人も出てくるだろう。お節介なお国である。

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