酒匂川の河原に、やや黄色みを帯びた花崗岩を見ることがあります。足柄平野に住む人であれば誰もが知っている矢倉岳を主につくる岩石です。釣鐘をふせたような地形の矢倉岳は、中腹部から山頂部までこの岩石でできています。
今から200万年前頃から深い海底に堆積した泥、砂、礫からなる足柄層群の地層に、約120万年前に花崗岩質マグマが大量に入り込んできました。それが地下の深部で冷えて固まり花崗岩質の岩石(正式には石英閃緑岩)になりました。この岩石はすべて結晶からできていて、岩石中に斜長石、石英、黒雲母、角閃石、輝石などの鉱物が観察できます。
中村 俊文(県立生命の星・地球博物館 学習指導員)
矢倉岳と富士山の遠景
河原の石英閃緑岩