酒匂川の河原の石を見ていると、白いおにぎりに黒いごまをふりかけたような白っぽい岩石がよく見られます。これは、マグマが地下数キロメートルの深いところで、ゆっくりと冷え固まったものです。約一,〇〇〇℃のマグマがゆっくり冷え固まると、結晶が成長してすべて結晶からできた岩石になります。マグマからできた結晶を鉱物といいます。この石は、川により丹沢山地から運ばれてきました。花崗岩の仲間で、トーナル岩といわれています。花崗岩の中で質のよいものは、国会議事堂のような建物や墓石などに利用されています。日本では神戸市六甲山地の地名を取って、御影石とも呼ばれています。
丹沢山地に見られるこの花崗岩質の岩石は白く、斜長石や石英のような白っぽい鉱物が多く含まれます。ごまのような黒っぽい鉱物は、主に角閃石と黒雲母です。これらの中で、太陽の光に反射させて、特にきれいに光り輝くのは、斜長石と角閃石です。
約500万年前に、丹沢山地の地下深部に、大量の花崗岩質マグマが入り込んできました。このマグマによる熱や圧力により、まわりの岩石や地層は変成されて、しまのある岩石や緻密で非常に固い岩石になりました。このようにもとの岩石に比べ、質や形の変わった石を変成岩といいます。ハンマーでたたいても火花が出るほどの固さです。
中村 俊文(県立生命の星・地球博物館 学習指導員)
河原の花崗岩の仲間
虫めがねで見た様子
顕微鏡で見た様子