丹沢山地からの石ころの中に、しま模様のある岩石が見られることがあります。これは小型の地層です。地層は、泥や砂の層が互い違いに重なり合ってできるのが一般的です。しかし、丹沢山地で時々見られる地層は、海底で火山が噴火した時に、吹き出された火山灰が積み重なったできたものが多いのです。丹沢山地は、約千五百万年以上も昔、海底火山の活動によってできた山です。
現在の海底には多くの火山があり、火山活動が数万年も続くと、富士山級の大型の火山になり、海面に頭を出します。ハワイ島、伊豆大島、桜島などがそうです。なぜ、この岩石が火山灰からできているかというと、顕微鏡をのぞいてみるとわかります。きれいな色に光っているのは、マグマの中で成長した結晶(鉱物)です。そのすき間をマグマが急に冷えたことによってできたガラス質のものや小型の鉱物がうずめています。ところで、互い違いの層(互層)になっているのはなぜでしょうか。それは、一度の火山噴火で海中に噴出した火山灰が、重さや大きさにより海中で振り分けられたからです。重いもの(鉱物)が先に沈み、軽い鉱物やガラス質のものがあとからたまります。まるで2つの層のように見えても、実は一度の火山噴出によるものなのです。その繰り返しにより、しま模様のある岩石でできたと考えられます。
中村 俊文(県立生命の星・地球博物館 学習指導員)
しま模様のある岩石
左の岩石の顕微鏡写真