丹沢山地は、約1,500万年以上も昔、海底火山の活動によってできた山であるといわれています。では、なぜ1,500万年前と分かるのでしょうか。
その証拠になるものを酒匂川で見ることができます。河原に、ときどき白色~薄い赤紫色をした岩石が見られます。これは石灰岩です。丹沢山地には、点々と石灰岩や大理石(結晶質石灰岩)のがけがあります。
石灰岩に強い酸性の薬品をかけると、白っぽい泡(二酸化炭素)を出して溶けます。虫めがねやルーペでよく観察すると米粒くらいの大きさで、円形やレンズ状の白っぽいものが見えます。これは大型有孔虫の化石です。種類によりネフロレピジナ、ミオジプシナなどがあります。これらの生物は、現在から約1,500万年前に、浅く温かくきれいな海水の中に住んでいたと考えられています。
これらの化石には、すでにからだのやわらかい部分はありませんが、石灰質の骨格が残り、化石となりました。このようにある時代だけに大繁殖した生物の化石を、年代を示すことからし示準化石とよんでいます。
中村 俊文(県立生命の星・地球博物館 学習指導員)
河原の石灰岩
有孔虫化石の集まり
ネフロレピジナの顕微鏡写真