町内には寺社林としてスダジイやタブノキなどの常緑広葉樹林が残されています。その中で必ず目につくのがヤブツバキです。ツバキには様々な園芸品種がありますが、多くは本種とユキツバキなどの交配から生み出されたものです。
昆虫が少ない12~3月に花を咲かせるヤブツバキは、花粉をメジロやヒヨドリなどの小鳥に運んでもらうという生き残り戦せんりゃく略をとっています。筒状になったおしべにたくさんの黄色い花粉をつけ、奥にはたっぷりと蜜を用意し、その真ん中にめしべがあります。蜜を目あてにやってきた鳥の嘴を見ていると、その基部に生えている毛に花粉が付いているのを見かけます。鳥がさまざまなツバキの花を巡っていくことで受粉され、結実へとつながっていくのです。
一寸木 肇(おおい自然園園長)
常緑広葉樹林内のヤブツバキ(高尾)
花弁もおしべも目立つ(篠窪)