大井町では、初夏から秋にかけて、アカボシゴマダラの姿をよく目にします。当初は南西諸島のものと思われたのですが、調べてみると、中国産のチョウだったのです。マニアが育てて自然界へ放したことが大繁殖の発端となったこともわかりました。しかもそれは、神奈川県で起こった出来事でした。いたるところに食草のエノキがあり、天敵になる昆虫も少ないようで、もともと日本にいたかのように、ごく普通に見られるチョウになってしまいました。同じ仲間に国蝶のオオムラサキがいますが、同じ木で幼虫同士が出会うと、アカボシゴマダラの方が攻撃をしかけ、オオムラサキを追いやるところを見たことがあります。
外来種は、このようにいろいろな影響を与え、場合によっては生存を脅かす存在になる可能性があります。今後、アカボシゴマダラが日本の自然にどのような影響を及ぼしていくのか、注視していかねばなりません。
酒井 春彦(中井町立井ノ口小学校教諭)
エノキに産卵にきたアカボシゴマダラ
アカボシゴマダラの幼虫