町の田畑の隅などに、コンクリートで作られた貯水槽があります。中をのぞく人はあまりいないかもしれませんが、いろいろな生きものが暮らしている面白い世界なのです。
その住人のひとりが、マツモムシです。人が近づくと、すばやく水の底に潜ってしまいますが、しばらくすると水面に浮かんできます。よく見ると、おなかを上にして、ボートのオールのようなとても長い足を持っています。
おなかが上を向いているのは、水面に落ちた虫などを捕まえやすくするためです。獲物が落ちた振動を感じてマツモムシは素早く泳ぎ、獲物のところへ行き、脚を使って捕え、針のような口で突き刺し、体液を吸い取ります。
マツモムシは、プールの常連客で、プール開きの頃、水面を見てみると、マツモムシの姿が見られます。幼虫がいるところから、プールで繁殖したことがわかるのですが、どんなところに産卵しているのか、不思議な気がします。
酒井 春彦(中井町立井ノ口小学校教諭)