ミヤマクワガタ、ミヤマアカネ(とんぼ)など「みやま」がつく昆虫がいますが、ここで紹介するミヤマセセリもその仲間です。ところで「みやま」とは「深山」と書き、山奥にいるというイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。
ミヤマセセリは、写真のように褐色の羽をしたチョウで、山奥にいると思いきや、身近な里山の根岸山周辺などで暮らしています。
春がやってくると、オスはあちこちを飛び回り、結婚相手を探します。春を感じさせる花のひとつに、オオイヌノフグリがありますが、その花に訪れて蜜を吸っている姿を見ます。このチョウはモンシロチョウなどとは違い、春にしか見ることができないので、陽だまりで出会った時は、今年も会えたかとうれしくなります。
ミヤマセセリの幼虫は、雑木林を作っているクヌギやコナラ(どんぐりの木)などの葉を食べて成長します。カブトムシやクワガタムシだけでなく、どんぐりの木に命を預けている昆虫はとても多いのです。
晴れた日の里山で、ミヤマセセリに出会えるかもしれませんね。
酒井 春彦(中井町立井ノ口小学校教諭)
ミヤマセセリ