根岸地区の最明寺には、庫裏のほうに池があります。3月に入って雨が降る夜、冬眠から醒めて林からはい出てきたアズマヒキガエルたちは、この池に集まり、雌をめぐってはげしい争奪戦を始めます。俗に言う「蛙合戦」です。時には1匹の雌に複数の雄が取り付き、団子のようになってしまいます。そのため、絶命してしまう雌も出るくらいです。「グッ、グッ」という声も聞こえますが、近ごろは、集まるヒキガエルの数がずいぶん減ってしまいました。
産卵が済むと、ヒキガエルたちは林に戻り、またしばしの眠りにつきます。一方、産み出されたひも状の卵塊は、はじめのうち鉛筆ぐらいの太さですが、やがて水分を吸ってその2~3倍の太さになります。こうしてヒキガエルの命が引き継がれていくのです。
一寸木 肇(おおい自然園園長)
雌にしがみつく雄ガエルたち(蛙合戦)
ひも状になったアズマヒキガエルの卵塊