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五感のささやき 2017年度

印刷用ページを表示する更新日:2017年10月23日更新

3月 未病バレー・BIOTOPIA

神奈川県では豊富な地域資源を持つ県西地域を「未病の戦略的エリア」に位置づけ、「未病改善」をキーワードに各地域の魅力をつなげて新たな価値を創出し、地域の活性力を生み出すため、県西地域活性化プロジェクトを推進している。平成27年5月、その拠点施設としての設置場所やコンセプトなどに関する概略提案を県が公募したことから、(株)ブルックスホールディングスと大井町が共同提案をし、7月のプレゼンテーションを経て、8月に最優秀提案として採択された。その後(株)ブルックスホールディングスと大井町とが基本計画案を策定し、「(仮称)未病いやしの里センター事業に係る連携に関する基本協定」が、平成28年7月に神奈川県と(株)ブルックスホールディングス、大井町との三者で締結された。
昨年の7月には東京・原宿のBROOK’S ME-BYO caféにて、「未病バレーBIOTOPIA」名称決定イベントが開催された。
未病バレーBIOTOPIAは、「にぎわいを生む」「未病を改善する」「産業を活性化する」を基本コンセプトとし、現在、神奈川県、設置・運営主体である(株)ブルックスホールディングス、大井町で4月末の第一期オープンに向けて事業を進めている。今回のオープンでは、県展示施設、未病関連の商品やサービスを紹介する未病メッセ、ヘルシーフード・マルシェ、レストラン、キッチンスタジオ、屋内スポーツ施設、森林セラピーの「森の道」などが整備される。本館内には、新たに起業される方へのサテライトオフィス「WakWork」も用意され、企業へのオフィスの賃貸も可能となる。
オープンした際には、多くの方々に来ていただき、健康チェックや身体を動かすことで、健康や未病に関心を持っていただきたい。また、富士・箱根連山の雄大な景観の中でストレスを発散し、健康的な食事を摂り、元気に、はつらつとなっていただければと願うところである。
また、健康産業や未病産業を中心とした事業者のオフィス利用が図られれば、地域経済の振興にもつながり、本来の意味でのにぎわいの創出が図られ、未病バレーBIOTOPIAがめざす未来となるだろう。

2月 雪情報に関心たれ

昨年の暮れから強烈な寒波が日本列島を襲い、日本海側から北海道にかけて冬の大嵐で被害や大混乱を引き起こしている。気象庁が、早くから雪情報を出し、国民に注意喚起を行っていることは、我々の事前対応にも大変有効であり、ありがたく思っている。
1月22日の午後からの降雪も、事前に気象情報を捉えて対策会議を開き、除雪対策を講じておいた。具体的には建設業の各社に除雪従業員の確保や除雪機材の準備をお願いし、職員による除雪の準備や凍結防止剤の散布の用意なども行った。当日は町内の平坦部で3センチ強、丘陵地で5センチ強の降雪となったが、夜の9時過ぎに雨に変わった。翌朝の平坦部は雪化粧を見ることが出来たが、通勤・通学路や役場庁舎周辺の雪の影響は全くなかった。丘陵地では夜のうちから建設業者が三カ所程の除雪を行い、一カ所は職員が除雪をした。その後は冷え込みが予想されたので、翌朝の凍結に備えて心配される個所へ凍結防止剤を散布し事なきをえた。
神奈川県内は、降雪の少ない地域であるが、足柄平野はその中でも雪の少ない土地柄であり、温暖な気候に感謝している。しかし、油断は大敵だ。ひとたび雪が降ると首都圏と同様、簡単に交通マヒに陥ってしまうのである。電車のダイヤは大幅に遅れて改札の入場制限が行われ、バスもタイヤチェーン着装の運行となり大混乱となるだろう。タクシーも需要が膨れ上がり、空車を探すのが大変になる。こういう時ほどマイカーを使いたくなるものだが、スタッドレスタイヤでもなく、タイヤチェーンを持たずにノーマルタイヤで道路を走れば、雪にはまってスタックしたり、果ては交通事故を起こしたりし、交通の混乱に拍車を掛けるのである。
安全・安心への関心が高くなっている現代であるが、ことに都心をはじめ、温暖な地域は雪に対してはまだまだ意識が低いような気がする。本格的な春を迎えるまでは、雪の情報に関心を寄せて降雪や積雪の混乱に巻き込まれないようにしなければならない。

11月 横浜DeNAベイスターズ

横浜DeNAベイスターズにとって今年のシーズンは非常に劇的であっただろう。
読売ジャイアンツと競り合い、セ・リーグ3位でクライマックスシリーズの出場を決めた。そしてクライマックスシリーズでは雨の甲子園球場で阪神を下し、2年連続リーグ優勝の広島をも下した。セ・リーグの3位球団が日本シリーズに出場するのは初めてだという。そして日本シリーズではパ・リーグ覇者の福岡ソフトバンクホークスと対戦し、3連敗後に2連勝で盛り返し、最終戦では延長11回にもわた大熱戦を繰り広げ、惜しくも敗退した。
今季のベイスターズは就任2年目となったラミレス監督の采配が非常に評価された。日本シリーズにおいても若手や活躍の場が少なかった選手も積極的に起用し、試合を勝利に導いたからだ。しかし、いくら監督の采配がよくとも、選手がそれに応えなければ結果にはつながらない。物事をチームで進めていくためにはリーダーとメンバーが互いに信頼しあい、期待に応えあうことが肝要だ。
主将の筒香選手はシーズン序盤、極度の不振に陥ったが、それに一喜一憂せず、チームの勝利を優先した。日本シリーズ5戦目では初打点を含む3打点でチームの勝利に貢献し、「真の4番の仕事をしてくれた。やってくれると信じていた」と監督をうならせ、期待に応えた。内野手・白崎選手は今季あまり成績が振るわなかった。しかし、監督から「君は打撃がよくなってきているので、自信を持ちなさい。きっと重要な場面で出番があるから」と言葉をかけられたという。シリーズ6戦目に初の先発出場の機会が与えられ、「先発で起用してくれたので、何とか結果で応えたい」と見事ホームランを放った。
このように監督とナインがお互いに強い思いでつながり、一丸となって試合に臨んだ結果、よい循環が起きたのだと思う。19年ぶりの日本一という夢は散ってしまったが、ベイスターズという樹は枯れていない。20年ぶりの日本一という目標に向け、開花の準備に入った。

10月 ハッピー ラッキー すいっぴー!

この10年ほどで地域や団体のキャラクター、いわゆる「ゆるキャラ」が広く親しまれるようになった。くまモンやふなっしー、ひこにゃんなどそのデザインや設定は非常に多彩である。大井町にもイメージキャラクターの“すいっぴー”がいる。
すいっぴーは町制50周年の際に公募したデザインから生まれた。平成27年度に着ぐるみが制作されて以来、さまざまな活動を行うようになった。大井町の“O”をかたどっているが、「卵みたい」と言われる形状やかわいらしいデザインもあいまって、町内の子どもたちを中心に人気があり、親しまれている。
そのすいっぴーのキャラクターソングとダンスがここで完成した。この企画は、日頃子どもたちと接する幼稚園・保育園の先生たちの提案が始まりだった。そして、笑顔特派員のスベリー・マーキュリーさんが楽曲の制作の企画からダンスの振り付けまで深く関わり大活躍してくれた。実際の編曲やレコーディングにあたっては、音楽活動をする町民有志の皆さんにも協力していただいた。半年以上かけたこの企画は、完成するまでに、他にもたくさんの方々のお力をお借りした。そのおかげで大変素晴らしいものになったと思っている。
本格的なお披露目は今月15日に行われる町民大会となる。町の幼稚園・保育園の年長園児たちのダンスとして披露されるため、子どもたちの元気な踊りとかわいらしい曲にぜひ注目してほしい。
このような活動によって子どもたち、またその姿を見守る大人たちがすいっぴーにより親しみを感じられるようになるだろう。また、明るい曲調やハツラツとした振り付けは関わる人に笑顔をもたらし、ひいては町の元気にもつながる。この歌とダンスが今後長く愛されることを願っている。

9月 台風シーズン

近年の異常気象の影響だろうか、台風5号がひと月も早く8月7日に和歌山県北部に上陸し、猛威を振るった。大井町においても7日に警戒対策本部を設置し、翌日8日に解散するまで警戒を続けた。近隣の市町村には大雨警報が発令され、被害が出たところもあると聞くが、大井町は幸いにも警戒態勢を敷いただけで事なきを得た。
さて、暦は長月に入り、いよいよ台風のシーズンを迎えた。昔から立春から数えて210日目を「二百十日」といい、この日から10日間前後は台風の到来が多いとされる。今年の「二百十日」は9月1日であった。この頃に台風に襲われると、風雨によって稲が倒伏して刈り入れ作業を困難にする。収穫量の減少にもつながるため、この時期の天候は豊作・不作を左右する原因とされてきた。
数十年前とは気象も変わり、稲の刈り入れも早くなった。既に刈取りのコンバインが動き出す光景を目にするようになった。このところ各地で「50年に一度」の記録的豪雨が襲っていることもあり、天候には心配している。また、この秋の作柄の情報はまだ来ていないものの、8月から続く日照不足は何らかの影響を与えたのではないかと気がかりである。
これから本格的な実りの秋を迎える。食味や収穫量が保たれ、無事に収穫されることを祈るばかりだ。

8月 土用の丑の日

今夏は梅雨が明けてからも、暦で大暑を迎える頃から曇天が続き、梅雨期よりも涼しいと感じる日が7月末まで続いた。
毎年のことであるが、土用に入ると鰻の香りが漂うより先に鰻の話が聞こえてくる。焼き場から流れてくる香ばしい匂い、甘辛のたれは食欲をそそり、暑さからの食欲不振を克服できる。かば焼きだけでなく、白焼きやうざく、肝焼きなど、調理方法もさまざまで、お酒もご飯も進む。まさに夏バテ防止のスタミナ食といえるだろう。
土用の丑の日の起こりの話だが、夏に鰻が売れないため、鰻屋が平賀源内に相談したところ、源内は「丑の日にうのつくものを食べると夏バテしない」という言い伝えからヒントを得て、「土用の丑の日」という看板を立て掛けるよう指示した。すると、大繁盛となり、現在のようになったといわれている。
このような話もあり、土用の時期に鰻は売れるのであるが、鰻の美味い旬は本来、晩秋から初冬にかけての脂の乗った時期である。土用の中でも丑の日に鰻を食べることが一番良しとされているが、とある鰻店のおやじに聞けば、丑の日は鰻を供養するために休みにする鰻屋もあるという。老舗の鰻屋では今でも「土用の丑の日」を理由に休業にしている店があるとのことである。
土用の丑の日の鰻屋の混みよう、デパートの食品売り場の鰻売り場の長い行列を考えれば、いっそのこと時を構わず気まぐれに美味を味わうのもよかろう。それよりも暑い夏のその先に訪れる「味覚の秋」が待ち遠しい。

7月 半夏生(はんげしょう)

今年は梅雨入りしても降水量が少なく、前半は空梅雨であった。昔ならば水不足が心配されたであろう。
さて、夏至から数えて11日目の7月2日頃から七夕の頃までの5日間を半夏生という。「半夏」とは鳥柄杓(カラスビャク)というサトイモ科の薬草の別名で、これが生える時季という意で「半夏生」と呼ばれるようになった。なお、ドクダミ科に属する多年草の半夏生という植物の花の咲く時期でもある。片白草とも呼ばれる半夏生は、数枚あるうちの一枚の葉だけが白くなるから、「半化粧」となり、いつの間にか「半夏生」の字が宛てられるようになったといわれている。
田植えは半夏生までに済ませなければならないとされ、田植えを終わらせた農家が休息をとる時期とされている。また、半夏生に降る雨を「半夏雨」といい、この頃の天気によって一年の豊凶を占う習慣があった。田植えを終えた田んぼから天へ神様が昇って行くのが半夏雨になったともいわれる。この時季には天から毒気が降るといわれ、井戸に蓋をする、野菜を食べない、種まきをしないなどの禁忌もあった。なお、地域によってはタコ、サバ、うどんを食べる風習がある。梅雨の真只中であり、湿度が高く、気温の変化も大きくうっとうしい日が続く時期でもあるので、食べ物も吟味してのことだろうか。いずれにせよ、これらに風習は先人の知恵や願いの中から生まれたのであろう。
農業になじみのない人も近年は多いとは思うが、こうした雑節を期に先人の暮らしに思いを馳せるのもよいものだ。

6月 六月を思う

五月は天気の良い日が多く、月の半分は夏日となった。入梅を迎える六月に入っても、気温は高いが湿度は少なく爽やかな日々が続いた。こんな気温と湿度のままで、夏が終われば良いのであるが、もう間もなくうっとうしい梅雨期に入ることだろう。長期予報によると今年の夏は、例年以上の酷暑というから、どの様にして乗り切ったらよいものかと今から思い悩んでいる。
多くの日本人は六月というと、梅雨のイメージから陰湿さを思い浮かべることだろう。しかし、中には六月に結婚することを意味する「ジューンブライド」を思い浮かべる人もいるかもしれない。これは、「六月に結婚すると幸せになれる」というヨーロッパの言い伝えに由来する。六月は英語では「June」といい、「Junoの月」という意味がある。ジュノーはローマ神話の神々の王であるジュピターの妻で、結婚生活の守護人でもある。このジュノーの祭りが六月の初めにあることから、ローマ人は六月に結婚し、翌春に子どもを産むと幸せになれると信じていたのだ。この「ジューンブライド」は今ではわが国でも広く知られ、うっとうしい梅雨空をものともせず、多くのカップルが結婚式を挙げ、式場は華やかである。
また、陰暦では六月を「水無月」という。これは炎暑のため水が涸れるということに由来する。ただし、この「水無月」が本来指す時期は新暦の七月にあたるのである。
うっとうしい梅雨は早く終わって欲しいが、驚くような炎暑の到来にも頭を悩まされる。皆で健やかに過ごすためにも、何事も穏やかであって欲しいものである。

5月 夏来たる

ゴールデンウイークを迎え、一気に夏のような気候となった。1日はまるでスコールのような嵐が襲い、驚いた方も少なくないと思う。2日は天候が回復し、新緑のまぶしい、まさに「夏も近づく八十八夜」という茶摘み歌にふさわしい青空が広がった。そして5日の子どもの日は立夏でもあり、いよいよ夏の到来を感じさせる、さわやかな気候に恵まれた。
植物や動物たちも活動期に入った。野山の木々は新緑でむせ返り、田んぼには水も引き込まれ始めた。連翹(れんぎょう)や雪柳が咲き誇る中、牡丹(ぼたん)の花も負けじと色鮮やかに花開いている。
役場の北側のJR御殿場線路脇に毎年巣作りをするキジは、1カ月ほど前までは「ケンケンー」とオスが縄張りを確保し、つがいを求める声を発していたが、ここ最近は静かになったところから、求愛は無事成功し、ふ化に備え、巣作りに入ったと思われる。
我が家の庭の水盤にいるメダカのお腹が大きくなり、産卵が間近になってきたようなので、シュロの葉を入れてみることにした。また、姿を隠していたヤモリがうごめき始めたり、梅の新芽にアブラムシが出てきたりするのは厄介であるが、すがすがしい夏の到来を感じればそれすらも些末なことだ。
この後は、肌寒かったり、長雨が続いたりと、うっとうしい梅雨が到来し、それが明ければ猛暑の夏が来るであろう。我々にとっては過ごしづらい日もあるが、これらの気候によって作物が成長し、実りの秋を迎えることができる。今年も穏やかな天候で豊かな実りに恵まれた秋を迎えたいものである。

4月 会話の要素

いよいよ新年度がスタートし、この4月より当町では二人の職員が入庁しました。宣誓文書を元気に読み上げ、緊張の面持ちで辞令と町章を手にする姿は初々しく、今後どう活躍してくれるかと思うと実に楽しみです。
例年のことながら、年度当初の3日の昼のニュースではさまざまな企業の入社式の様子が報道されていました。この春、新社会人としてスタートした人たちは、仕事への意欲を燃やしながら、周りからの期待を一身に受け、着慣れないスーツに不安交じりの心を包ませていることだろう。しかし、社会人となったからには組織の一員となり、上司への報告、連絡、相談を基に自らの考えを上申できねばならない。そのためにはまず会話することが第一歩だ。口下手だからできないなどと言ってはいられない。会話は職場の人間関係を円滑にするための潤滑油といえるし、お客様とのコミュニケーションを図る上でも必須であるからだ。
17世紀のイギリスの政治家、ウィリアム・テンプルは会話の要素として4つのキーワードを挙げている。第一は真実だ。誰と会話するにせよ、真心のこもった内容と話し方を心がけなくてはならない。第二には見識を挙げている。知識や教養が会話の背後にはあるべきで、軽薄な内容であってはならない。第三は快適を挙げている。すなわちこれはさわやかな語り口であることだと思う。同じ内容でも朗らかにはきはきとしゃべる人と、不機嫌にぼそぼそとしゃべる人のどちらが好印象を与えるかは言うまでもないと思う。第四として頓智を挙げている。気を利かせ、会話の中で相手を満足させることが求められるのだろう。
この会話の四要素は新社会人ばかりでなく、我々も含め、すべての大人に求められることであろう。振り返ってわが身はどうか、これを機に考えなければと思うのであった。