ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 町長の部屋 > 裸心版 2019年度

裸心版 2019年度

印刷用ページを表示する更新日:2019年11月1日更新

小田町長の裸心版 2019年度

○裸心版とは・・・

このタイトルは、町長としてのさまざまな体験を通じて感じたことを着飾らずに素直に『裸の心で発信』することで、町の進むべき道を皆さんにも考えてもらいたいという思いから「裸心版」としました。

※「羅針盤」は、船や航空機などで方位を知るための器具で、大航海時代の幕を開く重要な航海計器。

※広報おおいに掲載した原稿をWeb用に改稿して掲載しています。2カ月に1度程度の頻度で更新する見込みです。

 

第6回 2020年3月 立志式に思う

「志さだまれば 気さかんなり」は、幕末の偉人・吉田松陰先生の言葉である。これは「志=目標が決まれば、その実現に向け、やり遂げようという気力が自然と満ちあふれてくる」ということだろう。

去る1月30日(木)に大井町生涯学習センターで湘光中学校主催の「立志式」が行われた。大辞林をひも解くと、立志式とは「元服にちなんで(数え年の)15歳を祝う行事。参加者は、将来の決意や目標などを明らかにすることで、おとなになる自覚を深める。」とある。

湘光中学校では、立志式の目的を(1)自分を見つめ、社会の一員としての自覚を深め、今と将来の夢や願いを考える、(2)これまでの自分を支えてきてくれた保護者や、周囲の多くの人たちへの感謝の気持ち、自立の気持ちを高める、(3)社会で活躍する湘光中卒業の先輩の講演を聞くことで、自分の在り方や志について考え、将来の職業観を抱くきっかけにする、の3つとしている。そして将来の自分に向け、「現在がんばっていること」「将来に向けた決意」「将来の夢」などの内容で作文を書き、当日は各クラスの代表生徒がステージ上で作文を読む。また、その作文は成人式で一人ひとりに返却されている。なお、湘光中学校の立志式は今回で52回目となるが、神奈川県下の町村では愛川町と大井町の2町のみが行っているようだ。

大人でもなく、こどもでもない、14歳という、大人への脱皮に葛藤し、身も心も揺れ動く人生の過渡期に「立志式」という節目を設け、志を新たにすることは、大変意義あるものと感じる。こうした先人の知恵には感服するものがある。この時期は、「手を離して目を離さず」ということが大切で親の役目でもあろうかと思う。手をかけすぎては、子どもは自立できないだろう。逆に、目を離してしまっては、親の役目は果たせないだろう。人生の先輩として、社会や仕事のこと、特に世の中の厳しさ、自己を律することの必要性など、ご自身の体験などを交えてしっかり子どもたちに話していただければと思う。そして子どもたちは夢がその時々で変わったとしても、おかれた環境でその夢に向かって力強く努力をし、そうした努力を重ねるからこそ感じられる「生きる喜び」を知る人になって欲しいと願うものである。

 

第5回 2019年11月 一丸となって

この度の台風19号におきまして被災された方々に、心からお悔やみとお見舞いを申し上げますとともに被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。

「町長、大雨特別警報・土砂災害警戒情報などすべての警報が解除されました。」と10月13日早朝の3時40分、防災安全室長から報告があった。私は、「外はまだ暗いので、避難所に泊まっている皆さん全員の無事退場を確認し、避難所の担当職員が全員帰庁後、災害対策本部を解散しよう。」と指示した。庁舎内では防災服を着たままの職員が仮眠を取っていた。防災安全室に行くと、3人の職員が自席に座っていた。「少しは眠れましたか?」「はい、机に突っ伏したまま少々」…電話対応や、国・県・マスコミからの情報収集などで席を離れられなかったのであろう。職務とはいえ、その責任感に感謝した。

記録的な大雨による被害が激甚災害にも指定された台風19号は、12日夜に襲来した。各地の被害状況が深刻であることは報道で知ったが、もしあのようなことが大井町でもと想像すると、自然への畏怖と災害対策の重要性をいっそう強く感じた。わが町では比較的小規模な土砂災害のみで済んだことはまさに不幸中の幸いだったとしか言いようがない。それにしても六ケ所の避難所を開設したことは初めてのことであった。前々日の開設準備から、当日早朝からの開所作業と避難者受け入れ対応、一方で被災個所の応急処置や復旧作業、避難所の後片付けと、翌日まで業務は続いた。ほぼ4日間、職員が一丸となって町民の安全安心のために職務に当たっている姿にはただ“ありがとう”の言葉しかなかった。

台風は進路がある程度予想することができるので事前準備が可能だが、地震となればそうはいかない。避難所の運営一つをとっても様々なことを想定し、対応できるようにしなけれなならないと考えた。

私も町長に就任し、間もなく一年となる。この度の台風における災害対策本部長としての役割がどれだけ果たせたか自問する所ではあるが、今後も様々な場面で、自分の役割を果たすべく至誠勤労を重ねていくつもりである。

 

 

第4回 2019年9月 自治会担当職員制度がスタート

7月から「自治会担当職員制度」が始まりました。この制度は、住民との対話・交流を通じ、行政的な立場から自治会の自発的な活動を支援するとともに、地域課題の解決に住民の意向を反映させ、自治会と町が協働のまちづくりを推進する一助として導入しました。

この制度では自治会からの希望がある場合に限り、職員を2~3人担当職員として配置することとしました。これは、協働のまちづくりの原則である、自主・自立の原則・相互理解の原則・対等の原則・目的共有の原則・公開の原則に則り、推進していきたいという思いからです。募集の結果、19自治体すべてから担当職員配置の要請がありました。この制度にご理解とご賛同をいただけたと感じ、感謝申し上げるとともにその重責を感ずるところです。

すでに、いくつかの自治会から会議などへの出席依頼があり、担当職員が各自治会へ出向き自己紹介や制度の説明などを行いました。

担当職員の役割は(1)自治会と町との連絡調整(2)行政情報等の提供(3)地域内巡視(4)その他、自治会と町との連絡調整 の4点です。また、皆さんにご理解いただきたいことは、町職員は職務として、自治会と町とのパイプ役・相談役という役割を担っているということです。自治会の行事の準備や当日の運営スタッフとしての派遣要請はご遠慮ください。なお、出席依頼は自治会長からとしました。

この自治会長担当職員制度により、町職員と住民との間に「顔の見える関係」が構築され、さらなる相互理解と信頼関係の創出につながることを願っています。また、職員が地域の現状を体感することで新たな能力形成と、職員としてのやりがいやモチベーションの向上にもつなげていってほしいと思っています。

 

第3回 2019年 7月 “ありがとう”のあふれるまち

 「ありがとう」を変換したら「有難う」と表記されました。『有ることが難しい=めったにない=感謝したい』ということなのでしょうね。それにしても、“ありがとう”の言葉は誰もが心地よくなる不思議な言葉だと思います。さまざまなことに感謝の心で「ありがとう」を発すると、不思議と自分の心も温かくやわらぐように感じます。

私たちのまちではたくさんの人が、地域社会、仕事、家庭などそれぞれの分野で役割をもって暮らしています。たとえば食物一つを例にとってみても、作る人がいて、それを売る人、また加工・調理する人、レストランや食堂を経営する人、そこで働く人、さらに生ごみを適切に処理する人など、たくさんの人によって私たちの暮らしは成り立っています。こうしてたくさんの方がいてくれるから、私たちの“あたりまえ”だと思っている日常生活ができているのです。たった一人で暮らしていけるのならばともかく、私たちは「人」との「間」で生きていく「人間」です。意識の有無にかかわらず、常に支えあい、影響し生きていくのです。各家庭においても、家族のだれ一人がかけても暮らしと心の歯車は乱れてしまいます。

ひとりの命がこの世に生まれ、無事に成長することすら大変なことです。そう考えると、命あることさえ「有り難い」ことではないでしょうか。だから私は、「人間」として、周囲すべてにかかわる事柄に対して常に「有り難い」の感謝の心で接したいと思います。そして、魔法の言葉「ありがとう」と、その心があふれるまちであってほしいと思います。

町のすべての人が、地域社会、仕事、家庭においてそれぞれの立場でしっかりとその役割をはたしていただいてこそ、互いに感謝し合える有り難い“まちづくり”ができると思います。そのためにも可能な限り、お互いに情報を発信し合い、夢を語り合い、それを共有し合うことは大切です。私は自律した町民風土と自立したゆめおおい未来への“まちづくり”をみんなの力で(協働の力で)創造していきたいと思います。

 

第2回 2019年5月 地域資源を活かしたまちづくり

3月に「一般社団法人 神奈川大井の里体験観光協会」が設立されました。

これは町内の地域資源を活かした農業体験、自然体験、ものづくり体験と民泊体験をあわせた交流体験事業を推進・事業拡大することで、地域ににぎわいを創出しながら地域課題(荒廃農地・里山保全・少子高齢化など)の解決につなげてゆくための地域住民主体の法人組織です。

交流体験事業とは、地域におけるさまざまな活動(田畑の雑草抜きから作物収穫体験、ものづくり体験、地域文化体験など)を体験プログラム化して、地域外の方に提供し、収益を上げる活動で、「儲かる仕組み」を構築することを目的としています。

これまでも、地域への想いを持った人々で構成されたさまざまな団体が地域資源を活かした体験の提供や活動により、地域課題の解決につなげながら来訪者を楽しませてきています。

しかし、今後見込まれる企業研修や修学旅行などの大規模体験の受け入れを可能とするために法人化し、旅行会社などとの契約や企業研修や地域貢献活動、東海・関西圏の小中学校を中心に修学旅行などの誘致に向けた営業活動も可能となり、地域活性化につなげていきます。

町では、本年度予算において、同法人の設立と当面の運転資金として2000万円を、議会にご承認いただき、出捐金(しゅつえんきん)として拠出させていただきました。今後、同法人は令和4年度には自己資本で自力自走可能な経営体となる計画です。そのためには町も可能な限り支援していきますが、町民の皆さんのご理解とご協力を切望するところです。

この事業は多くの分野に関わる総合的な事業です。それぞれが役割をしっかりと果たしていただき、「協働・協創のまちづくり」が推進され、持続可能な地域資源を活かしたまちづくり事業としていかなければならないと考えます。

 

第1回 2019年 3月 共に力をあわせて

日頃より、町民の皆さんには自治会活動はもとより、さまざまな分野でまちづくりに大変ご尽力賜りまして誠にありがとうございます。

これまでの約2カ月間は私にとってはまさに緊張の連続の毎日でありました。

マスコミ取材の対応から近隣市町への挨拶回りや来訪者接待、また各種団体の新年会への出席、成人式、消防出初式など、いずれも町の代表者として、皆さんに恥じないようにとの思いで公務を務めましたが、果たしてその役割をしっかり果たすことができたものかと自戒するところです。

初めて経験した当初予算の町長査定では、皆さんからお預かりした貴重な税金を無駄なく、効率的・効果的に事業配分するために、町職員とともに精査して、2019年度予算案を決めましたが、執行責任者としての重責を痛感しました。一つの事業を実施するにも、町民の願い、さまざまな法的規制、確かな財源の手当て、また効果的手法など、多面的、多角的視野からの検討が求められるので、これからもしっかりとその役割を果たしていきたいと思っています。しかし、多様化しつつある町民ニーズを持続可能な施策として実現していくには、町民の皆さんのご協力も不可欠なものであると感じており、そのためには町民や議会の皆さんんともしっかりと協議を進め、まちづくりの多様な担い手がその役割を十分発揮できる仕組みづくり、体制整備に取り組んでいかなければならないと強く考えます。

年頭のあいさつでも述べましたが、私はまちづくりの理想の姿はオーケストラのようだなと感じています。多くの個性あるプレーヤーが自律と調和の精神を大切にし、それぞれの役割をはたしていただき、心地よい大井町サウンドを皆さんと共に奏でていけることを願っています。

私も自分の役割をしっかりと果たしていきますので、皆さんのご理解とご協力をお願いします。